大好きなお父さんについて
今週のお題「お父さん」
私の父は、とても運がいい。
20年前のある日。父は職場で転倒し意識を失った。すぐに同僚に発見され、病院に搬送された。頸椎損傷だった。たまたま県外から来ていた腕のいい医者が手術をしてくれ、一命をとりとめた。もし、この医者がいなかったら死んでいたかもしれないと誰もが思った。(運び込まれた病院は、真偽は定かではないが死亡率が高いことで有名だった)命が助かっただけでなく、後遺症も軽度なものだ。時折指先が痺れたり、昔は得意だった歌が下手になったという程度。糖尿病予備軍ではあるが、今も元気に仕事をしている。
私は父のことを、実はよくわかっていない。
どんな仕事をしているのかを知らない。父は一切、家庭に仕事を持ち込まない人だ。家で仲の良い同僚の話はするが、仕事の内容には触れない。(別に、機密事項を扱っているような職場ではない。ごく普通の製造業だ)実家の車が突然新車になっていたこともあるし、ある日、「家を建てる」と言い出した時はどうしようかと思った。新しい家に満足していたかと思えば、ちょっと気に入らないところがあるから宝くじが高額当選したらもう一回家を建て直すと言い出す始末。別に我が家は資産家でもなければ、父は高給取りでもない。共働きだが、母はパートタイマ―だ。ただ、私の父は人望が厚く交友関係が広い。誰かがお金をくれるのだろうか? そんなわけない。高校時代、マークシート式の全国試験を全て勘で回答し全国8位を取って担任教師に「どうした? 大丈夫か?」と心配されるような人だ。何か『持っている』のだろう。私には想像もつかない、不思議な力を。
そんな父も、もうすぐ還暦だ。仕事に趣味に没頭しながらも、母と私のことを大切に思ってくれる父への感謝を込めてお祝いは盛大にやろうと思っている。生きていてくれてありがとう、という思いを込めて。